アリスと不思議な国
「泣いているの?」

「い、いえ。」

「泣きたいなら泣けばいいのに。」

「だから泣いてませんって!!」

けれどやっぱり少年の目は少し潤んでいた。

「まぁ、寂しいという気持ちはわからなくもないわ。」

一人は寂しい。

たとえ、大きな家に住んでいようと、たくさんのお手伝いさんが取り囲もうと、一番会いたい人に会えないのは辛いのです。

けれど、アリスは多忙な両親にそんなことは言えませんでした。

自分のために頑張っているのだと知っているから。

「やっぱりあなたは優しい人です。」

「べ、別に優しくなんてないわ。普通よ普通!」

頬を赤く染めながらアリスは言います。

「隠さなくてもあなたは優しいですよ。」

「だから優しくなんてないって言ってるでしょ!?」

アリスはムキになりさっきより強めに言います。

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