怪談短編集
そういえば、渇いたなぁ。
「んじゃ、頼むよ」
言ってから、作業に戻り、気付いた。
僕ばっかりが作業してて、ジャスティンは逃げてばっかりだ。
僕が行く、言おうと思って振り向くと、もうジャスティンはいなかった。
「逃げ足の速いやつ」
僕は、ふと視線を壁画に移した。
あれ?
一枚目は十字軍の、二枚目はそれから何年か経った王宮の壁画。
なのに、同じサインが入っている。同じ人が描いたのだろうか?