怪談短編集




 そういえば、渇いたなぁ。



「んじゃ、頼むよ」



 言ってから、作業に戻り、気付いた。




 僕ばっかりが作業してて、ジャスティンは逃げてばっかりだ。



 僕が行く、言おうと思って振り向くと、もうジャスティンはいなかった。




「逃げ足の速いやつ」




 僕は、ふと視線を壁画に移した。



 あれ?



 一枚目は十字軍の、二枚目はそれから何年か経った王宮の壁画。



 なのに、同じサインが入っている。同じ人が描いたのだろうか?



< 183 / 195 >

この作品をシェア

pagetop