少女は偽りの恋




それにしてもこの男、長身で男らしいゴツゴツした体型の割りに、声が高い。

女とまでは言わないが、少なくとも中性的な声色だ。

まぁ、彼の中性的な優れた顔立ちとは相性がとても良いが。


ツグミは、段々と色男から我を取り戻し、失礼の無い程度に人間観察を始める。


…これは、絶滅危機に直面している珍種動物を目にしたような感動にツグミは襲われる。

こんな美しい人間、一体今迄どこに隠れて居たのだ。


「…あのね。」

彼は口を開ける。

喋る時の口の微かな動きでさえ、色気が漂う。


すると男は、店のカウンターの方に目をやる。

小都音も吊られて、そちらの方に目を向いた。


そこには驚くことに、
さっきまでは空席も有った筈の店のカウンターから外までに、行列が並んでいた。


小都音は頷く。
「混み出して来ましたね。」

その一言に、男はパッと表情を輝かせた。



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