少女は偽りの恋




何が何だか頭が追いつかない状況のツグミを差し置いて、男は続けた。


「そう、混んで来たからさ…。

4人席を二組も二人占めするのはどうかなと思って、相席しないかと持ち出してみたんだ。
合理的だろ?」


小都音は頷くしかなかった。

確かに、不審で突飛な不合理的な事を行う割には、
合理的で親切な考えだ。


小都音は「それでは仕方がありませんね。」と呟く。


男はツグミを見やり、
「君は?」と尋ねる。


ツグミはソファから跳ねそうになった。突然話を振ってきた物だから、
彼女は咄嗟に「私も、どうぞ」としか言えなかった。

もっとも、それだけを言えばいいのだが。


すると男は後ろを振り返り、彼の連れと思しきもう一人の男に向かい、
「お前もいいだろ?」と爽やかに尋ねる。

相手は明らかに困惑かつ迷惑そうな顔をした。


何か言葉を発そうとした様に見えたが、すぐさま男によって阻止された。

「人が沢山並んでるんだ。
譲ってやってもいいじゃないか。」

「それは感心しません。」



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