少女は偽りの恋
いきなりの小都音の発言に、男は二人揃って「え?」と間抜けな声を上げた。
しかしツグミには、小都音が何を言いたいのかが瞬時に理解できた。
「彼は嫌がってそうに見えますけど、
どうして貴方は無理往生するんですかね?」
「ですかね」と言葉にする小都音を見やり、ツグミは噴き出しそうになるのをグッと堪えた。
小都音は澄ました顔で言ったが、
「ですかね」を使うのは、小都音なりの相手を軽蔑している最高のサインでもある。
極上の色男が、小娘に蔑まれている。
そんな光景が、面白くて堪らない。
ツグミにはそう思えた。
すると一瞬の間が空いたが、当の嫌がっていた男は何かに降参したように、肩を竦めた。
「俺も別にいいよ。」
気まずそうな表情で答え、彼はノッタリと身を起こした。
この男もまた、前の男と同じ位の長身だ。
よく見ると、彼も中々顔が整っていることにツグミは気付いた。
しかし、かの絶世の美男を前に、
どんな男でもどうしても霞んで見えてしまうそうだ。