少女は偽りの恋




「何を笑ってるの?」

男はまさにツグミも思っていた事を口にした。


しかし小都音は何も答えなかった。

笑い終え、小都音は手を差し出し、
「名前は?」と優しく目の前の男に尋ねた。


ツグミは本日二度目、
そんな小都音の小さな仕草に、同性ながらも胸がキュンとした。


しかし当の色男は、ジッと小都音から目線を逸らさず、見つめていた。

小都音も負けずにと視線を外さない。
輝くような美男を目の前にし、彼女は全く恐れを知らない。


見つめ合う二人。

それを傍観する二人。

滑稽な場面だ。


すると、先に視線を外したのは男の方で、
ツグミは心の中で歓声を上げた。




「吾妻 昌巳(あずま まさみ)だよ。
宜しくね。」

中々立派な名前だ。

しかし初対面で全く面識も無く、関わりの無い人間同士がフルネームを教えあうというのも不思議な物だ。

どうやら、これからからも長く付き合いがありそうだな、
とツグミの中で超感覚的知覚が働く。




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