少女は偽りの恋
なるほど一理あるな、
とツグミは大して嫌な気はしなかった。
香水を付けるのは彼女の趣味なのだ。
目の前に座っている藜は、不思議そうに顔を顰める。
「ごめんなさい、
つまらなかった?」
小都音は申し訳なさそうに薊とツグミの二人の顔色を窺う。
しかしその台詞の割りに、彼女の顔は綻びていた。
吾妻昌巳は目を細め、小都音の表情を観察する。
「君はもしかして、大学では生物学専攻?」
「いいえ。」
小都音は笑顔を消して、当たりをキョロキョロ見回す。
料理が上がるのを待っているかのような仕草だ。
面白い子だ。
と吾妻昌巳は直感的に思った。
百面相な割りに、何を考えてるのかが全く分からない。
そんな小都音の趣が、吾妻昌巳の好奇心を刺激する。
「違うの?その割には植物学に詳しいね。」
「トリビアですよ。単なる豆知識です。」
「じゃあ、専攻は何?」
小都音は顔を上げた。
目の前の男を見上げると、皺も染みも何一つ無い陶器のような綺麗な顔をしていて、小都音は何故か警戒した。