少女は偽りの恋





「趣味が悪いですね。」

小都音がそう呟くのを、ツグミは聞き逃さなかった。恐らく前に座っている美丈夫もそうだろう。

しかし彼は只目を細めて、微笑むだけであった。


すると昌巳は一度背もたれに背を預け、また座り直す。

ツグミは彼のそのスムーズな動きに見惚れ、
また漂う香りに目を瞑りたくなる。



不意に吾妻昌巳は口を開く。


「君ね、実は喋り方が凄く教授に似てるんだよね。」

彼の方を見やると、ニコニコと笑った顔が眩しい。


一方小都音の方を見やると、彼女はどうしようもない様に笑っていた。


「失礼かな?
でも、本当に似てるんだよね。

藜、分かる?」

昌巳は藜の方に顔を向ける。

すると壬生藜は考え込むような仕草をして、ふと顔を上げた。
その顔には、驚きの色が滲み出ていた。


「あっは、
ああ、あの変な名前の教授?」

どうやら心当たりがあるそうだ。
藜と昌巳は、揃って小都音の方に視線を向けた。


「変な名前って?」

どうやら小都音が興味を持ったのは自分の口調よりも、変な名前の様だ。





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