俺様彼氏の甘い罠




窓から生徒を眺めながら
こみ上げそうになる涙を
ぐっと堪えて、図書室に入った。




珍しく窓が開いていて
肌寒い風が吹き込んで来ては
私の体温を容赦なく冷やす。




寒いなぁ、って窓を閉めようと
手を伸ばしたら、




「 ・・・・桜? 」




桜の花びらが、手の甲に乗っかった。
まだまだ桜の季節じゃない、とか
テレビでは言っていたのに
どこからか舞い込んできた花びらを
掌に乗せて、窓の外へと手を出せば
冷たい風がまた花びらを乗せて行った。




いつの間にかここに来るのが
当たり前になってた。




書庫の窓とカーテンを閉めて
先生とキスするのはいつだって
緊張して、いつか見つかるって
先生が笑いながら言うたびに
内心すごく怖がっていた。




会長には、見つかっちゃったけど・・・
それでも、2年間、私たちは
離れようともしなかった。




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