妖狐の姫君
1人乗せたエレベーターは各階を通り過ぎていく。
どこまであがるの…
スピードは止まらずただ上がっていく。
屋敷は何階建てなんだろう。
エレベーターを囲うように長方形に型どられた廊下にはたくさんの人がいた。
私、やっぱり食べられちゃうんじゃ…
落ち込んではいられない。
エレベーターはようやく止まって開かれた。
この屋敷いったいどうなってるの。
さっきまでの騒々しいとは反対に静寂した空気が漂う。
フローリングの床になんとも壮大な絵が描かれた扉が1つ。
金箔で可憐な華とか草木が描いてある。
え、どうしたらいい?
押せば開くのこれ?
女1人でこの重たそうな扉を上から下まで見る。
「誰かいないの……」
周りを見渡してもいないしエレベーターが上がってくる気配もない。
ゆっくり右手の指を扉に触れようとした時、
触れた感触がなく扉は中央に裂け目が入りゆっくり鈍い音をたてながら開く。
ギィーと音がすればまた続くように扉の奥にある扉も開かれる。
な、なんだ。
私とんでもないところにきたのでは…。
扉の中は畳が一面に広がっていてそこに足を入れる。