妖狐の姫君



祭り賑わうこの風景とぼんぼりによって照らされる道一本が導くその先。



オレンジの灯火が私たちを引き寄せるように。



鼠色のブロックが重なる道を歩いて往来する紛れもない妖怪たち。



たどり着いた終着点は朱色の瓦にずっしりと存在感をなす屋敷。



赤と褐色、窓から黄色の明るさが放ってそびえ立つ。


首を上に向かせれば縦にも横にも広がる建物。



「ここに主がいる。君を呼んでるよ」



「主……?」



さっきから主って誰のことを指してるの?



みんながみんな口を揃えて言うから気になっていた。


「ここを納める頭領。千景様のこと」



「チカゲ…?」



「うん。主人に会いに行くにはこれにのっていって」


城の中は赤い絨毯がひかれていて中央には茶色のボックス箱。



エレベーター…?


きっとそうだ。



クロスされた木材で隙間がある簡易的な檻に背中を押され閉められた。



あ、お礼っ



「あの!あり、うわぁっ!」



間もなく急上昇するエレベーターの乱暴具合に体を崩す。



あがりゆく様子から彼は手を振っていた。



まるでこれから戦争に向かう軍人を送るように。



どうなっちゃうの?!

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