魔王に甘いくちづけを【完】
「うん。だって、今日は見習いの勉強がお休みの日だもん。ザキと出掛ける約束してるんだぁ」
エヘヘと笑いながら窓に向かう背中からは、うきうきとした高揚感が伝わってくる。
カーテンを開ける手も勢いよく、シャッ!と小気味いい音を立てる。
「そういえば。さっきジークさんに聞いたんだよっ。ユリアさんも、バルさんに城下に連れてってもらえるんだって。ね、いつ行くの?今日?だったら、城下で会えるかもねっ。あ、でもバルさんなら、私たちと違って素敵なところに連れてってもらえそうだから、会えるわけないかぁ」
エヘヘ、と笑って口を閉じる。
弾む声で、口を挟む隙もなく流れるように喋りながらリリィは窓際を歩きカーテンを纏めて、最後に窓を開ける。
すると、白フクロウさんが天蓋の上から飛び立っていく。
リリィが言うには、暫しの間空の散歩を楽しみに行くそう。
長いお出かけだなぁって思っても、必ず帰ってくるから窓は開けとかなければいけないらしい。
“ユリアさん、絶対開けとかないとダメだよ!でないと白フクロウさん、ものっすごぉ~く怒るから”
すっごく怖いんだよぉ・・と、いつにない迫力を込めた瞳でそう言われて、思わず息を飲んだことを思い出す。
リリィも魔の子なんだっけ、と改めて認識した瞬間だ。
もしかしたら、リリィは怒ったところ見たことあるのかもしれないと考えて、そのありえなさに自分でも首をひねった。
バルが帰城して以来、アリの講義時間と夜以外は、白フクロウさんが天蓋から離れることが多くなった。
バルがお部屋に来た時に鉢合せをすると、未だに睨みあったりするけれど。
一度我慢してじっと見守っていたら、何も起こらない事が分かったのでそれ以来気にしないことにしていた。
「いつ行くのかって、う~ん、そうね・・・バルのお仕事の都合次第だと思うけど・・・」
そういえば。
行く日はまだ聞いてない。
―――課題10割になったら―――
有無もなく一方的にされた約束。
実はまだ達成できていない。
アリが作る課題はとても難しいんだもの。
“これでは、城下見物は、永遠に行けません”
昨日、それはそれは冷たくきっぱりと言い放たれた。
温度のない声と瞳、おまけに体からは冷気がずずずっと出ているようで、計らずも体がブルッと震えてしまった。
気のせいでなく、まわりの空気が冷たくなったもの。
あれで部屋の温度が3度は下がったはずだわ。
けれど。
その日の午後こと。
相変わらずの全く手加減のない課題に、う~ん・・と頭をひねっていたら―――――
「今、少し話してもいいか?」
と、急に目の前に出現した大きな手に、ペンを動かす手を止められた。
エヘヘと笑いながら窓に向かう背中からは、うきうきとした高揚感が伝わってくる。
カーテンを開ける手も勢いよく、シャッ!と小気味いい音を立てる。
「そういえば。さっきジークさんに聞いたんだよっ。ユリアさんも、バルさんに城下に連れてってもらえるんだって。ね、いつ行くの?今日?だったら、城下で会えるかもねっ。あ、でもバルさんなら、私たちと違って素敵なところに連れてってもらえそうだから、会えるわけないかぁ」
エヘヘ、と笑って口を閉じる。
弾む声で、口を挟む隙もなく流れるように喋りながらリリィは窓際を歩きカーテンを纏めて、最後に窓を開ける。
すると、白フクロウさんが天蓋の上から飛び立っていく。
リリィが言うには、暫しの間空の散歩を楽しみに行くそう。
長いお出かけだなぁって思っても、必ず帰ってくるから窓は開けとかなければいけないらしい。
“ユリアさん、絶対開けとかないとダメだよ!でないと白フクロウさん、ものっすごぉ~く怒るから”
すっごく怖いんだよぉ・・と、いつにない迫力を込めた瞳でそう言われて、思わず息を飲んだことを思い出す。
リリィも魔の子なんだっけ、と改めて認識した瞬間だ。
もしかしたら、リリィは怒ったところ見たことあるのかもしれないと考えて、そのありえなさに自分でも首をひねった。
バルが帰城して以来、アリの講義時間と夜以外は、白フクロウさんが天蓋から離れることが多くなった。
バルがお部屋に来た時に鉢合せをすると、未だに睨みあったりするけれど。
一度我慢してじっと見守っていたら、何も起こらない事が分かったのでそれ以来気にしないことにしていた。
「いつ行くのかって、う~ん、そうね・・・バルのお仕事の都合次第だと思うけど・・・」
そういえば。
行く日はまだ聞いてない。
―――課題10割になったら―――
有無もなく一方的にされた約束。
実はまだ達成できていない。
アリが作る課題はとても難しいんだもの。
“これでは、城下見物は、永遠に行けません”
昨日、それはそれは冷たくきっぱりと言い放たれた。
温度のない声と瞳、おまけに体からは冷気がずずずっと出ているようで、計らずも体がブルッと震えてしまった。
気のせいでなく、まわりの空気が冷たくなったもの。
あれで部屋の温度が3度は下がったはずだわ。
けれど。
その日の午後こと。
相変わらずの全く手加減のない課題に、う~ん・・と頭をひねっていたら―――――
「今、少し話してもいいか?」
と、急に目の前に出現した大きな手に、ペンを動かす手を止められた。