魔王に甘いくちづけを【完】
青い空にキラキラと輝く太陽。
白い雲が緩やかに流れていき、城宮の屋根で風に煽られてパタパタはためく狼の印は、バルが帰城してからはとても穏やかに見える。
柔らかい空気に包まれ、平和そのもののラッツィオの国。
そんな、緩やかな空の下。
ユリアの暮らすバルの城宮の屋根の上に、真っ白な綿毛のような塊がポツンとあった。
空と同化しそうな碧さに太陽に負けないほどの輝きを放つそこにあるそれは、僅かに身動ぎをしたかと思えば、バサッと翼を広げ空に飛び立った。
ガラス玉の瞳がキッと見据えるのは、空の向こうから飛来してくる茶色い影。
―――今こそは―――
羽ばたく度ぐんぐん速度を上げ、わき目もふらずに一心にそこに向かう。
向こうも白に気付くも速度を緩めることなく、決意を固めた鋭い瞳と嘴を向けて真っ直ぐに滑空してくる。
互いの距離がずんずん近付き、やがて大空で激しくぶつかり合った。
白が力負けし、きりもみして落下していくのを懸命に立て直し羽ばたき上がって、再び猛然と茶を追いかける。
威嚇の声を上げながら大きくなり、速度のある茶になんとか追い越し前方に浮遊してはだかった。
空中で対峙する二羽。
白は言わずと知れた、ユリアのペットの白フクロウ。
対する茶は、ゾルグの若き従者鷹のホーク。
鷹は一旦空高く舞い上がり一転し、白フクロウに向かい風切り音を鳴らしながら猛スピードで滑空する。
速度に乗って勢いを増した鋭い嘴が白い羽を目掛ければ、白フクロウは間一髪それをかわし、負けじと鷹の上に回り込み鋭い爪を鷹に突き立てる。
空中で互いに引くことなく何度も激しくぶつかり合い、爪と嘴がそれぞれの体を攻撃する。
かわしかわされる目にも止まらぬ攻防。
傍目には白と黒っぽい残像が見えるだけ。
何が起きてるのかさっぱり分からない。
静かで穏やかな青空の中、闘いの音だけが辺りに響き渡る。
二羽の羽の音。
カッ―――ガツン―――ガッ!
ぶつかり合う嘴と爪の衝突音。
威嚇し合う声。
茶と白の羽が抜け飛び散って空で混ざり合い、ハラハラと雪のように地に舞い落ちる。
白い雲が緩やかに流れていき、城宮の屋根で風に煽られてパタパタはためく狼の印は、バルが帰城してからはとても穏やかに見える。
柔らかい空気に包まれ、平和そのもののラッツィオの国。
そんな、緩やかな空の下。
ユリアの暮らすバルの城宮の屋根の上に、真っ白な綿毛のような塊がポツンとあった。
空と同化しそうな碧さに太陽に負けないほどの輝きを放つそこにあるそれは、僅かに身動ぎをしたかと思えば、バサッと翼を広げ空に飛び立った。
ガラス玉の瞳がキッと見据えるのは、空の向こうから飛来してくる茶色い影。
―――今こそは―――
羽ばたく度ぐんぐん速度を上げ、わき目もふらずに一心にそこに向かう。
向こうも白に気付くも速度を緩めることなく、決意を固めた鋭い瞳と嘴を向けて真っ直ぐに滑空してくる。
互いの距離がずんずん近付き、やがて大空で激しくぶつかり合った。
白が力負けし、きりもみして落下していくのを懸命に立て直し羽ばたき上がって、再び猛然と茶を追いかける。
威嚇の声を上げながら大きくなり、速度のある茶になんとか追い越し前方に浮遊してはだかった。
空中で対峙する二羽。
白は言わずと知れた、ユリアのペットの白フクロウ。
対する茶は、ゾルグの若き従者鷹のホーク。
鷹は一旦空高く舞い上がり一転し、白フクロウに向かい風切り音を鳴らしながら猛スピードで滑空する。
速度に乗って勢いを増した鋭い嘴が白い羽を目掛ければ、白フクロウは間一髪それをかわし、負けじと鷹の上に回り込み鋭い爪を鷹に突き立てる。
空中で互いに引くことなく何度も激しくぶつかり合い、爪と嘴がそれぞれの体を攻撃する。
かわしかわされる目にも止まらぬ攻防。
傍目には白と黒っぽい残像が見えるだけ。
何が起きてるのかさっぱり分からない。
静かで穏やかな青空の中、闘いの音だけが辺りに響き渡る。
二羽の羽の音。
カッ―――ガツン―――ガッ!
ぶつかり合う嘴と爪の衝突音。
威嚇し合う声。
茶と白の羽が抜け飛び散って空で混ざり合い、ハラハラと雪のように地に舞い落ちる。