黒姫
「……ここで降りるぞ。」
頭上から男の声が降ってきた。
それと同時に、私の頭を手で抑えつけられた。
フワッ……
「きゃぁっ!!」
本日、三度目になるであろう浮遊感が私を襲った。
ザッと言う音と共に、全身に伝わる僅かな衝撃。
男は私の頭のフードを抑え、抱いたままウェリィーから飛び降りた。
「無事のご帰還何よりです!!」
急に知らない男の人の声が聞こえてきた。まだ声が若い感じがする。
「急ぎロゥファを部屋へ呼べ。それと………リーンもだ。」
「はっ!!」
私を抱いている男と、若い男のやり取りが聞こえてくる。
そして、その若い男がどこかへ走り去る音が聞こえた。
「……行くぞ。」
グッと私を抱き直した男が歩き始める。
「ちょっ…私一人で歩けるから降ろしてっ!!」
いつまでも抱かれている訳にはいかない。
ましてや…姫抱きされた状態で歩かれては、私が恥ずかしくなってくる。
そう思って、少し足や手をジタバタさせる。
「いいから大人しくしていろ。」
少し呆れたような声が降ってきた。
何だか、ため息でもつきそうなレベル。
男は歩くスピードを早め、足早に目的の場所へ向かった。