黒姫


カツカツ…と、靴の音が辺りを響かせる。


そして、バンッ!と荒々しく扉を開く音が目の前で聞こえた。
その音に驚いて、ビクッと体が跳ねる。

いい加減降ろしてほしくてジタバタしてた手足の動きがピタリと止まった。











「……………。」

数十歩くらい歩いただろうか。
男は無言で私を地面に降ろしてくれた。

足元が絨毯なのだろうか?
凄くふかふかする。







そして、再び扉が開いた音が目の前から聞こえてきたと思ったら、背中を軽く押された。

前が見えないから少し躓きそうになる。









「先に風呂へ入れ。…話はそれからだ。」





背後からかけられた男の言葉に驚き、フードを捲って思わず後ろを見るが……目の前で、茶色の扉が静かに閉まる所しか見れなかった。

















「……………。」


…風呂?……話??



意味が分からないまま、閉められた扉を見つめる。

その扉を開けようかと迷ったが、制服の水分を含んだローブが急に凄く重たく感じた。

それに、いつまでも濡れている制服が体に張り付いてるから…ちょっと気持ちが悪い。















「………シャワーお借りしよう。」





数分間葛藤した後、目の前の扉を開ける事よりも今の不快感が勝り、シャワーを浴びる事を決めた。


シャワーを借りるべく後ろを振り向いたら…視界に入った光景にギョッとした。














「ひ……広っ…。」


教室一つ分はあるだろうか。無駄に広い。

手前にタオル等が置かれている棚があり、体の半分が余裕でうつる位大きい鏡もあった。


奥には白い湯気が立ち込めている浴槽がある。










「……………。」

あまりにも広すぎる。目の前に広がるその光景に、言葉が出てこなくなった。




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