夢の外へ
そんなの初耳だ。

今聞いたからなんだけど。

「最初は、すごく不安だった。

こんなのでいいのかな。

こんな中途半端でいいのかなって。

でも、思ってたのは最初だけ。

それがだんだんといい方向へ進んで、次第に彼を支えたい。

彼の力になりたい。

そう思った」

しゃべり過ぎたと言うように杏樹が息を吐く。

「誰だって、最初は不安だよ。

結婚なんて一生に1度だし、そこが墓場になるんだし。

そりゃ、みんな不安がって慎重になる。

でも頑張っていい方向へと進んで、幸せになる。

それが結婚だって、私は思うんだ」

「杏樹…」

さすが、結婚相談所で働いていただけのことはある。

何人かの人を結婚へ導いただけのことはある。
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