夢の外へ
杏樹に教えられ、千景の病室を訪ねた。

千景の両親は杏樹と一緒に待合室にいると言ったから、向かったのは私1人だ。

「――千景…」

悪いのは私の方なのに。

千景じゃなくて、私が刺されるべきだったのに。

「あ」

自分以外の声に顔をあげた。

千景の病室の前に、1人の女性がいた。

「――あかりさん、ですか…?」

見覚えのあるその顔に、私は思わず尋ねた。

「何だ、知ってるの」

あかりさんは肩をすくめて笑った。
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