キミが望むのなら


実はあの4年前の話には、続きがあるんだ……



――――――――――……


「……遅くなりました」



「っ!悠君っ!!桃香には会えた!?」


裏から店に戻ると、俺を待っていた美樹ちゃんが走り寄ってきた。


「……間に合わなかった」


「っ……そう……」


顔を歪めて、悔しそうに美樹ちゃんが俯く。


するとおばあ様も信二も、ただ黙って俯いた。


「おばあ様、そろそろ俺、準備しますね」


「えっ!?」


今からなら少し遅れてはいるが、パーティーに出て就任の挨拶を出来るな。


お客様はもうすでに来ているだろう……


「じゃあ俺、着替えてくるから……」


「ちょっ!悠っ!?お前ここで諦めるのかよ!?」


「……おばあ様、結局お客様を待たせてしまいました。すみません」


「おいっ!!悠っ!!」


「……すぐにでも着替えて、店にいきます」


「ゆ……」


「それと、美樹ちゃん。桃香の住所、紙に書きだしていて」


「「……え?」」



信二と美樹ちゃんが、間抜けな声を出す。



< 297 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop