キミが望むのなら
ここまで追いかけてきて、そのセリフ。
もしかして、桃香はただ俺のことを嫌いになったから離れたのか……?
俺だけがただ会いたいと思って……
俺だけが桃香のそばに居たいと思って……
でもそれは、桃香にとってただの迷惑なのか……?
でも、だからって……
――グイッ
「きゃっ!!」
腕を強く掴んで、マンションの中から連れ出す。
「それはこっちのセリフだっ!!」
「っ!!」
「どんな思いで俺がここまで来たと思う!?俺が……どんな思いで……」
「……悠……くん」
マンションの中とは打って変わり、少し肌寒い夜空に月が輝いている。
「許さないからな!桃香が俺から離れるなんてっ!!」
桃香が本当に俺を嫌いになって離れたなら、このまま離してやるのが正しい。
そんなの分かってる。
でも、俺にはそんなこと……出来ないんだよ。
「桃香が俺のこと嫌いになっても、俺は桃香のことずっと好きなんだよっ!!」
「っ!!」
好きで……
好きで……
好きで仕方ない……
「好きなんだよ……桃香のこと」
嫌われたとしても、好きなんだ……