血塗れの蝶
あたしのため?なんのこと?
・・・意味がわからない。
そんなことを思ってると、こーは、

「俺、1人暮らしするから。」

真剣な顔で言うこー。

1人暮らしね・・・?
ん?あれれ?
1人・・・一人・・・ひとり・・・ヒトリ。

『えぇ!?1人暮らしぃぃ!?』

あたしは思わず叫んでしまった。

「シーッ!!声が大きい・・・。」

『ごめん。・・・それ、本当?』

首を傾げてあたしは聞くと、

「あぁ。つーか、お前も一緒に来い!」

そう言って、あたしに手を差し出した。

あたしも一緒に?

あたしは嬉しさの余りに、
差し出された手を無視して、こーに
飛びついた。

「うおぅ!?・・・美王?」

『えへへッ♪あたし、一緒に行くよ?
 そしたら、こーと2人きりじゃん!!
 ・・・邪魔者も入んないし?』

たぶん、今のあたしの顔は、トマトにも
負けないくらい、顔が赤いと思う。

「おう。・・・でも、美王の
 親父さんに許可取って来いよ?」

『・・・やだ。』

さっきまで赤かった顔は、不貞腐れた顔に
変わった。

「へぇ~。・・・俺にお仕置きされたい?
 因みにやるとしたら、怒りも混ぜて、
 いつもより・・・『取ってきます。』」

ニヤニヤしながらあたしを見るこーの目は、
光っていた。

こーがこの表情になる時は、
凄くよくないことを考えてるとき。

「チッ・・・。」

舌打ちしちゃったよ・・・。

怒りも混ぜて、いつもよりハードになるよ?

あたしが言うことを聞かないとコレだ。
ってか、もう完全的に、脅しだよね?
コレって・・・。

「まぁ、いいや。俺も付いて・・・
 いけないんだった。」

悲しそうにこーは言う。

そう。あたし達は本当は、関係を持っては
いけないんだ。

もしバレたら、もう、一生逢えなくなる。
下手すると、殺されるかもしれない。

『ありがとう。気持ちだけ受け取っとく。
 3日後、こーの溜り場に行くから・・・。』

そう言って、微笑むと、こーは頷いて、

「また、3日後・・・。」

そう言って、バイクに跨り、消えてしまった。
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