血塗れの蝶
「・・・上出来♪」
そう言って、あたしの髪を撫でるこー。

『どーせ、して欲しかっただけでしょ?』

「最近、お前不足だからな?」

そう言って、顔を近付け、あたしの唇と
こーの唇を重ねる。

「あのー?2人の世界に入らないでね?」

顔を赤くした尚人が言った。

それに対して、あたしは・・・。

『まだいたの?普通、気ぃ利かして
 いなくなるもんじゃないの?
 常識だよ?・・・最低。』

そう言って、こーに抱き付く。

「最低って、いきなり2人が・・・。」

言い訳する令二をなんとなく
苛めたくて、あたしは・・・。

『うえ~んッ!!』

と、こーに泣きついた。

あたしは、泣き真似なら得意。
女だもの、涙腺は操れなきゃ!!

こーは、少し驚いた顔をしたが、
すぐに泣き真似と気付いて、あたしの
作戦に乗ってくれた。

「お前、俺の女を泣かせるなよな!?」

「えッ!?・・・すみませんでした。」

「・・・罰として、」

こーがそう言うと、令二は肩をビクつかせた。

「引越しの手伝いな?」

こーはそう言って意地悪く笑った。

その提案にあたしは、泣き真似を
やめて、

『こー、ナイス!!頭、いい!!』

と、抱き付いた。

「って、泣き真似だったの!?」

顔を引き攣りながら、令二は
あたしを見る。

『女だもの。涙腺を操れなきゃ、
 女が廃るよ!!』

あたしは満面の笑顔で、そう返した。

「騙されたぁぁ!!!!」

令二はそう叫んで、本泣きをしてしまった。


『ごめんね?』

一応、心の中で謝っといた。


――――――――。

「そろそろ、帰るか?」

こーはそう言って、あたしに
視線を向ける。

『こーは?ってか、あたしの門限、
 いつ?』

「・・・今のところはねぇが、
 俺が帰る頃には、飯が出来てれば
 文句はねぇ。」

『今日は?』

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