血塗れの蝶
「そうだったんだ・・・。」

『これ、内緒ね?』

「大丈夫だ!俺は何もいわないから。」
龍平はそう言って、あたしに微笑んだ。

『・・・蝶から、なんで黒蝶に
 なったか知ってる?』

あたしは龍平に、ずっと考えていた
ことを、聞いた。

「みんな、美王が謎だったから。
 黒が付いたんでしょ?」

えッ?そんな理由で?
ってか・・・。

『謎って?』

「インタビューでも、あんま
 答えなかったじゃん?
 だから・・・。」

『あれは、面倒臭かったからだし・・・。』

いちいち答えてたら、日が暮れちゃうよ!!
っ的な感じだったから、大抵無視してた・・・。

『それだけ?』

「いや?他にも、歳には似合わない
 妖しさとか?雪のように白い肌とか。
 普通、学生とか言ったら焼けるモンでしょ?
 なのに、蝶は焼けてないから、ますます
 謎でさぁ~!!
 あと、プライベートのことを話さない
 とか、色々?」

あたしって、そんなに謎だったんだ・・・?

「でも、蝶が美王なら・・・そのままの
 蝶かもね?」

『どういう意味?』

あたしは意味がわからず、首を傾げながら
龍平に聞き返すと。

「蝶の最大の敵ってなに?」
と、聞いてきた。

蝶の最大の・・・敵?

『・・・蜘蛛?』

「正解!!」

蜘蛛と蝶・・・。
ッ!!!それって・・・!!

『「・・・赤い蝶・・・」』
あたしと龍平は、声を揃えて言った。

「俺、その曲メチャクチャ好きなんだ・・・。」
顔を赤くして、照れくさそうに話す龍平。

「ここで、歌ってよ?」


「赤い蝶」―――――。

黒蝶のファンなら誰でも知ってる、この曲。

蝶が蜘蛛の巣に引っ掛かって、蝶を食べようした
蜘蛛に、助けを求める蝶。

蜘蛛は、蝶の誘惑に負け、助けてやるが
一年、自分の奴隷でいることを誓った。

いつしか蜘蛛は、その蝶に恋するように
なって、蝶も蜘蛛に恋をするようになったが、
お互い、「好き」とは言えずに離れていく。

そんな歌。
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