血塗れの蝶
晶は、なぜか改まってあたしを呼んだ。

コイツが「総長」と呼ぶときは、
真剣なことか、大事なこと

「アイツとデキてんの?」

・・・ピキッ

『んなわけあるかぁぁ!!!?』

「ですよね?・・・ビックリしたぁ~!!
 やっぱり美王は、僕の女になるんだよね~?」
晶はそう言って、あたしに抱き付いてきた。

『なんないから・・・。』
あたしは即答した。

「ガーンッ・・・。じゃあ、何?
 彼氏とか、好きな人いるの!!?」

『・・・いる。』
それにも、即答したあたし。

――――――それがいけなかった・・・。

つい、昨日まで『いないから。』と答えて
いたのに、今日は『いる』とか、今日出来たことになる。

「・・・誰だよ?ソイツ、連れてこい・・・。」

ヤバイ・・・。

『無理。他校だから・・・。しかも、
 あんたも知ってる琥・・・ゲホッ!』

仮面が割れたせいか、コントロールが効かなかった。
だから、あたしは自分で自分を殴った。

「美王ッ!?」

驚いた晶は、あたしの腕を掴んで
心配そうにあたしの顔を、覗き込んだ。

『大・・・丈夫だから。あたしのパンチって
 こんなに重いんだね?自分で殴っときながら、
 メチャ痛い・・・。』
そう言ってあたしは、自分の頬に手を置いた。

「・・・アホ。」
晶はそう言って、あたしの頬にキスをした。

『フッ・・・。さっきの冗談。
 いないよ?彼氏なんか作んないし?』

「そっか。僕もごめん・・・。」

『・・・まぁ、もうこれは終わり!!
 すぐ港に行くから、下で待ってて♪』

「了解。」

そう言って、屋上のフェンスをジャンプして
乗り越えて、下に降りた。

アイツ、ギリギリで乗り越えてたな。
・・・特訓させなきゃだな。

『龍平。さっきは悪かったな?
 あと、センコーよろしくな?じゃあッ!!』

あたしはそう言って、晶がやったように
フェンスをジャンプして乗り越え、下に着地した。

「あ、オイッ!!(5mもあるフェンスを
 ジャンプで乗り越えるとか、怖ぇから・・・。)」

シュタッ

上手く降りれたか・・・?





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