血塗れの蝶
みんなはソイツを驚いた顔で
見ていた。
美王はソイツを愛おしそうに
見ていた。
ソイツは美王を愛おしそうに
見ていた。
『こーッ!!!!!!!!!!』
美王はベッドを飛び出して、
ソイツに抱き付いた。
ってか、美王、声でてる……。
「なんでお前がここにいる!!!」
「変装して入りました。」
『こー、届いたの?』
「お前の声なら、いつでもどこでも
聞こえるさ!」
『くさい台詞だよ?』
「うるせぇ………。」
2人はこの場には合わないくらい、
イチャイチャしていた。
それよりも……。
「おい、牙籠。美王が普通に
喋ってるぞ?」
「…多分、精神的にダメージの傷は
アイツだったんじゃないか?」
「…どういう意味だ?」
「ほら、見てみろよ?あんな
楽しそうに笑ってるのは、久々に
見たぞ?小学生になってから
ずっと、作り笑いだったのが、
今となっちゃ…。」
牙籠はそう言って一旦、口の動きを
止めた。
そして、男の俺でも格好いいと
思うほど、綺麗な微笑を俺に見せた。
「あんなに美しく笑う美王さんは、
始めて見た。ここに入院しても、
窓の外しか見ないで俺に
目もくれなかった美王さんが…?
きっと、あの男が変えたんだな?」
「…俺もそう思う。だが、2人が
くっ付けば組み同士の抗戦もあるし
なにしろ……美王とアイツの族との
抗戦もあるだろ?
そんな危ないことに美王を
放り込むことなんか出来ねぇよ。」
『……父さん?』
さっきまで黙っていた美王は、
やっと口を開いた。
『父さん。あたし、琥畏が好き!!
いくら反対しても、コレだけは
譲らない!!!』
声を荒げて、美王はそう言った。
「だが、美王!!」
『もし、それが許せないと言うなら、
あたしを殺せばいい。』
美王は真剣な眼差しで
俺を見ている。
ダメだ…。美王がこの目をするときは
俺がなに言っても効かない。
この目をする美王を、以前
見たことがある。
俺は瞼を、ゆっくり閉じた。
見ていた。
美王はソイツを愛おしそうに
見ていた。
ソイツは美王を愛おしそうに
見ていた。
『こーッ!!!!!!!!!!』
美王はベッドを飛び出して、
ソイツに抱き付いた。
ってか、美王、声でてる……。
「なんでお前がここにいる!!!」
「変装して入りました。」
『こー、届いたの?』
「お前の声なら、いつでもどこでも
聞こえるさ!」
『くさい台詞だよ?』
「うるせぇ………。」
2人はこの場には合わないくらい、
イチャイチャしていた。
それよりも……。
「おい、牙籠。美王が普通に
喋ってるぞ?」
「…多分、精神的にダメージの傷は
アイツだったんじゃないか?」
「…どういう意味だ?」
「ほら、見てみろよ?あんな
楽しそうに笑ってるのは、久々に
見たぞ?小学生になってから
ずっと、作り笑いだったのが、
今となっちゃ…。」
牙籠はそう言って一旦、口の動きを
止めた。
そして、男の俺でも格好いいと
思うほど、綺麗な微笑を俺に見せた。
「あんなに美しく笑う美王さんは、
始めて見た。ここに入院しても、
窓の外しか見ないで俺に
目もくれなかった美王さんが…?
きっと、あの男が変えたんだな?」
「…俺もそう思う。だが、2人が
くっ付けば組み同士の抗戦もあるし
なにしろ……美王とアイツの族との
抗戦もあるだろ?
そんな危ないことに美王を
放り込むことなんか出来ねぇよ。」
『……父さん?』
さっきまで黙っていた美王は、
やっと口を開いた。
『父さん。あたし、琥畏が好き!!
いくら反対しても、コレだけは
譲らない!!!』
声を荒げて、美王はそう言った。
「だが、美王!!」
『もし、それが許せないと言うなら、
あたしを殺せばいい。』
美王は真剣な眼差しで
俺を見ている。
ダメだ…。美王がこの目をするときは
俺がなに言っても効かない。
この目をする美王を、以前
見たことがある。
俺は瞼を、ゆっくり閉じた。