血塗れの蝶
『なにしてんの?銃…
 しまってよ?』

「いいから、ソイツから離れろ…。」

『なんでよ!!何するつもりなの!?』

美王がそう叫んだ。後ろにいる
ソイツは怪しい笑みをしていた。

まさか…。

グイッ

『陽平?』

「ちょっと眠っててな?」

奴はそう言って、美王の鳩尾に
肘を打った。

『っ!!!!』

痛みに顔を歪ませる美王は、
その場に倒れこんだ。

「美王!!!!!」

俺は思わず叫んでしまった。

「お前の娘って軽いのな?普通に
 思わせ振りや、積極的になれば
 すぐに墜ちたぜ?まぁ、しょせん
 女だっつーことだな?」

「何が目的なんだ…。お前ごときが  俺の娘に 近付いていいと
 思ってるのか?」

「俺の目的は簡単。美王の力が
 あればいい。それだけだ。」

力―――?

コイツ、知ってるのか?








――――――――。

美王は他の奴とは、違う力がある。

それは、「癒しの力」。

美王が思いを込めてキスすれば、
どんな傷でも治るんだ。

俺が癌になって死にそうに
なってた頃。
俺にキスをしたんだ。

そしたら、癌がいつのまにか
治ったって、牙籠が言っていた。

まさに「奇跡の子」だと、牙籠は
言っていた。

美王の力をしてるのは、俺と牙籠と
美王だけ。



なのに、なぜコイツが
知ってるんだ?




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