血塗れの蝶
「おいおい、忘れたとは
 言わせねぇぞ?
 美王が6歳の時に、俺にして
 くれたことだ。
 お前も知ってるだろ?」


6歳?してくれたこと?俺も
知っている?
…あぁ。あの時か…。

『ぐっ…。まさか、金井 令十?』

美王はそう言いながら、フラフラと
立ち上がった。

『そうなの?』

「フンッ。そうだよ!お前のお陰で
 生きていられた。お前の力は
 本物だ…。これからの人生で
 お前が必要なんだ…。」

『あたしが、いなくても、
生きてられる。力が、なくても、
生きて、られる。』

美王は途切れ途切れに、肩で
息をしながら令十に言った。






令十は、元・藍桜組の一員だった。
ある日、大きな事故に巻き込まれ、
警察に捕まった令十は、藍桜組から
追い出されたんだ。

事故のとき、美王は令十に
キスをしていた。
どうりであんなことになって
いたのに、傷1つもないなんて、
不自然すぎだ。





「令十。お前はもう、藍桜組には
関わるな。…もちろん、
美王にも。」

『ごめん、別れよ?結局、あたし
1人が好きだったなんて…。』

泣きながら、美王は言った。

「やっぱ、単純だ。俺が好き?
 笑わせるな。誰がお前のこと
なんか好きになるんだよ?」

令十はそう言って、笑っていた。


その言葉に俺は、カッとなって、
令十に殴りかかった。




『父さん!!やめて、死んじゃう!!』

美王の叫び声で我に返った。

見ると、ほぼ気絶状態だったが、
なんとか意識を繋いでいた。

「いいか?テメェごときが、簡単に
 藍桜組の姫に手ぇ出していいと
 思ってるのか!?」

俺はそう言って、思いっきり令十を
殴った。

そして、令十は気絶した。
令十を外に放り込んで、
美王の元へと行く。

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