血塗れの蝶
マジか……。ありえねぇ。

「俺と藍蝶と2人っきり。その方が
 話しやすいからね?」

『用は?わざわざ、学校からここまで
 連れてきたんだ。なにもないとか
 言いやがったら、タダじゃ
 すまねぇぞ!?』

そう言ってキッと音也を睨むと
音也はニッコリ笑った。

「用……ね?」

そう口にすると、音也は
窓の方へ視線を動かした。

まさか本当にないとか言うん
じゃないだろうな?

「ククッ♪”桜神”なんてやめて、俺の 鬼神に入れよ。なんだったら、
 俺の女でもいいぞ?」

…コイツ、頭のネジ、どっか
取れてんじゃねぇのか?
バカじゃねぇの?可笑しすぎるから。



「桜神」―――――――。
あたしが率いるチームの名前。

今は全国1位の最豪チーム。

下っ端達はみんな、男。

チームの旗には、表には蝶と華の絵が
書いてあり、裏には蜘蛛と
蜘蛛の巣の絵が書いてある。

表はとても綺麗な蝶だが、裏は
蜘蛛という正反対なことを
意味する旗だ。



『もしそれを嫌がったら?』

「……さてどうするかな?」

そう言って顔を近付けてきた音也。
下手すると、唇と唇が
くっ付きそうな距離だ。

~~~ッ♪~~~ッ♪

そこで、ナイスなタイミングで
携帯がなった。

「チッ!…もしもし?」

そう言って音也は、あたしから
離れていった。

よし!今のうちにこの手錠を
どうにかしよう。

ガチャッガチャッ

脚を捻ってスカートの裾に
隠してあった、銃を出して
手錠向けて撃った。

パンッ

ジャラッ


『取れた……。』

上手くいったことに少驚いていると
奥から音也が出てきた。

「…お前!?」

『残念だね?武器はちゃんと
 没収しとかないと?』

あたしはそう言いながら、音也に
銃を向けた。

『あたしは藍桜組の組長の娘。
 お前はそれでもあたしを
 欲しがるのか?』

「もちろん。俺の者にするつもりだ。
 藍蝶を手に入れれば、俺達
 鬼神の名は、更に広まり、人数も
 増えるだろうしな?」

『そのためにあたしが欲しいと?』

「あぁ。」

コイツ、迷いもなく頷きやがった。

『お前、シバくよ?』

「シバければどうぞ?」

挑発っぽく言う音也。

完全的にあたし、なめられてる。

『…お断りだね。あたしは帰るから。
 また、日を改めてきな!!』

そう言って、あたしは扉の方へ
向かって歩く。

音也の横を通り過ぎると……。

ブンッ

音也は、拳を振り上げた。

パシッ

それをあたしは、軽く受け止めた。

『やるんなら、もっと音を
 立てずにやれッ!こんな風に。』

シュッ

ガンッ

「~~ッ!!!」

『悪い……。』





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