血塗れの蝶
こんな凄いことは、これから何年たっても
絶対にこないだろう。

『どうよ?いい条件でしょ?』

「・・・」

『あら?嫌なの?』

「・・・よろしく・・・お願いします。」

音也は、深くお辞儀をした。

『よく出来ました。』

あたしはそう言って、音也の頭をなでた。

『礼儀は出来るみたいだね?・・・音也、
 あんたは、王神の幹部候補者だ。
 しっかりしなよ?』

あたしは首を少し傾けながら言うと、
音也は顔を赤くした。

「・・・頑張ります。」

音也はあたしから視線を外しながら言った。



―――――――――。

「美王、遅いね~?」

「どうせまた、絡まれてんだろ?」

「大変だね~?ヤクザの娘で、総長まで
 やってると、敵が多すぎるからね~?」

「だろうな。」

今、あたしは音也を連れて港に来ていた。
んで、今はドアの目の前。

・・・コイツ等がいると何かと厄介だ。
出直そうか?それとも、今、ここで入っていく?

いやいや、危険すぎる。


そんなことを考えていると・・・。

「あっれ~?何か、美王の香水の
 匂いがする~!!・・・ドアの方だ!」

そう言って、奴はドアに近付いてくる。

ヤバイ。
どこに隠れようか・・・?

あたしがアタフタとしてる間に、
扉はもう開いてしまっていた。

ガチャッ

「美王、見っけ~♪」

そう言って奴は、抱き付いてきた。

「なんだ、いたのか?・・・お帰り。」

『ただいま。つーか、放れて!!
 紹介したい男がいるんだいるんだよ!?』

「なに?彼氏~?」

『違うわ!!ボゲェ!!』

「な~んだ。だったら、まだ僕の美王だね~?」

そう言って更にキツくあたしを抱き締める。

「なに言ってるだよ!!美王は、俺のモンだ!!!」

いきなり立ち上がり、思いっきりあたしの腕を

引っ張って、ソイツの足と足の間にチョコンッと、
座らされ、後ろから抱き締められた。

もう、こんなのは慣れっこだ。


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