ラッキービーンズ【番外編】
だから、ここで本気で嫌がるなんて空気読めてないヤツみたいだし、どう反応したらいいか分からないから、今度こそ本気で挙動不審になった。


「止めろ、ヤギ。日向さん困ってんだろ」


見かねた水嶋が無理やり八木原くんの腕を外してくれたけれど、それでも内心、水嶋が怒ってるんじゃないかと思ってドギマギしてしまう。

だって、「日向さん」なんて呼ばれちゃってるし。


いや、それは二人の関係がバレないためであって、距離を取られてるとかじゃないことは分かってるけども。


「ちぇー。メイちゃんと二人っきりだったらよかったのに」

「あ、じゃあ買い出しはメイさんとヤギーに行かせてあげましょうか?」

「あげましょうかってどんだけ上から目線なんだよ。リアちゃんこそ水嶋さんと二人っきりになりたいだけでしょー」


ええー、そうなのリアちゃん!

やめて、やめて!


そう思って焦るのは私だけで、単なる冗談なのか皆、笑ってる。

ああ、やっぱり私、ついて行けてないよ!


「メイ」


いつの間にか歩き出している皆に遅れて歩いていると、前でじゃれあってる二人から外れてそっと水嶋が隣に来た。

耳元で名前をささやかれる。


それだけでゾクッとした。
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