ラッキービーンズ【番外編】
「クリスマス」

「え?」

「四人で鍋リベンジだって?」

「えっ……」

「リアちゃん、メイもヤギも了承してくれたって言ってきたんだけど」


水嶋の腕の中で心臓の鼓動が落ち着かなくなる。


リアちゃん、伝達能力高過ぎだよ……。

大体、私は了承した覚えなんてないのに……。


そう言いたいけど、それってただの言い訳だ。

ハッキリと断るチャンスならいくらでもあったのに、お茶を濁したのは他でもないこの私なんだから。


「予定があるのはどっちだよ」


水嶋の声色が真剣に怒った感じじゃないのがせめてもの救い。

すがるように顔を上げると、目が合って髪を撫でられた。


「メイ」

「……ごめんね? でも私、本気で4人で過ごしたいって思ってるわけじゃなくて」

「分かってるよ。だけど自分がこうしたいって思ってるなら、大事なことは意思表明しろよ。それともメイにとってクリスマスなんてそんなもん?」

「ち、違うよ! 私達の初めてのクリスマスだもん! ほんとは高くないけどちょっとお洒落なレストランで食事して、一緒にツリーを見に行って、部屋でプレゼントを交換してちっちゃなケーキを食べて……」
< 7 / 68 >

この作品をシェア

pagetop