ラッキービーンズ【番外編】
そこまで言って、水嶋が笑いをこらえてるのに気づいて口をつぐんだ。


「い、いや、そこまで考えてたわけじゃないよ? ただ言ってみただけ……」

「そのわりにはスラスラ要望が出てくんのな」

「……引いた? 妄想力のすごい女だって」

「引かないよ。ただメイってここまでつつかないと言いたいこと言わないんだなーって」

「……呆れた?」

「いや、調教のしがいがある」

「……犬じゃないし」

「まぁ、ずっといればそのうち自然に言えるようになるだろ。俺らなら」

「……」


一応、犬扱いされて怒っていた体(てい)だから、緩む頬を必死で引き締めた。

だってそれってずっと一緒にいようって言われたみたいで。


嬉しい。すごく。


私の駄目なところも指摘して、認めて受け入れてくれる。

それだけじゃなくて少しずつ変われるようにって導いてくれる。


だからリアちゃんの誘いぐらいは自分でキッパリと断ろうと決意した。


「リアちゃんには私から断る」

「お? 彼氏と過ごすって?」

「……うん。頑張って言う」

「その彼氏が俺だって? リアちゃんにバレたら困るんじゃなかったっけ?」

「うん、でも頑張るよ」
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