渇望の鬼、欺く狐
その晩は、狐は眠りにつく事が出来ずに。
ただ呆然と一点だけを見ながら、時間を過ごした。
精神的に、疲れていたのだと思う。
疲れているクセに、眠ろうという気にもなれない。
だって自分と寄り添ってくれる相手など、もう居ない。
何も考えぬように。
何も感じぬように。
そうしていなければ、陥った事実に心が押し潰されてしまいそうだった。
意識しながらに呆然と過ごす時間は、狐の空虚感を肥大させていくだけだったけれど。
苦しさや辛さ、悲しみや淋しさを感じ続けているよりは、幾分かだけマシだったようにも感じられる。
やがて日が昇り、辺りに清浄な朝の空気が立ち込めても、やはり狐は呆然と一点を見つめていた。
朝になるまでに、もしかしたら戻ってくるかもしれないという、心のどこかでの期待が打ち砕かれて。
同時に、心のどこかで、そんな期待を抱いていた事にも気付く。
その期待に気付いてしまえば、その思いを捨てる事が難しくなった。
朝は迎えてしまったけれど、いつか戻ってくるかもしれない。
狐は、そんな事を考えてしまったのだ。
その日から、狐はたった一匹、静かにその場所に佇んで。
家族が戻ってくる事を、一心に祈り続けた。
ただ呆然と一点だけを見ながら、時間を過ごした。
精神的に、疲れていたのだと思う。
疲れているクセに、眠ろうという気にもなれない。
だって自分と寄り添ってくれる相手など、もう居ない。
何も考えぬように。
何も感じぬように。
そうしていなければ、陥った事実に心が押し潰されてしまいそうだった。
意識しながらに呆然と過ごす時間は、狐の空虚感を肥大させていくだけだったけれど。
苦しさや辛さ、悲しみや淋しさを感じ続けているよりは、幾分かだけマシだったようにも感じられる。
やがて日が昇り、辺りに清浄な朝の空気が立ち込めても、やはり狐は呆然と一点を見つめていた。
朝になるまでに、もしかしたら戻ってくるかもしれないという、心のどこかでの期待が打ち砕かれて。
同時に、心のどこかで、そんな期待を抱いていた事にも気付く。
その期待に気付いてしまえば、その思いを捨てる事が難しくなった。
朝は迎えてしまったけれど、いつか戻ってくるかもしれない。
狐は、そんな事を考えてしまったのだ。
その日から、狐はたった一匹、静かにその場所に佇んで。
家族が戻ってくる事を、一心に祈り続けた。