渇望の鬼、欺く狐
俺の為に、母ちゃんが殴られてる。
俺が殺されない為に。
母ちゃんが殺されようとしてる。
泣かなくなったって、強くなったわけじゃなかった。
ちっとも強くなんかなかった。
だって俺は何も出来ないじゃないか。
母ちゃんを守る事が出来ない。
こいつの腕を振り解く事も出来ない。
俺は。
何てちっぽけなんだろう。
自己嫌悪は虚無感を呼び起こして。
少年の絶望を強く煽り、心を支配する。
少年の心が砕ける、その瞬間。
――旭。
少年の頭の中。
脳に直接届く声は、もう一つの聞き慣れた声。
咄嗟に少年が周囲を見渡そうとも、その姿は映らない。
だけど、またその声は少年の脳へ響いたのだ。
――藍を助けるんだ。
無理だよ、と少年は思う。
それが出来ていれば、すでにそうしている。
出来ないからこそ、今自分の心は砕けようとしているのだから。
俺が殺されない為に。
母ちゃんが殺されようとしてる。
泣かなくなったって、強くなったわけじゃなかった。
ちっとも強くなんかなかった。
だって俺は何も出来ないじゃないか。
母ちゃんを守る事が出来ない。
こいつの腕を振り解く事も出来ない。
俺は。
何てちっぽけなんだろう。
自己嫌悪は虚無感を呼び起こして。
少年の絶望を強く煽り、心を支配する。
少年の心が砕ける、その瞬間。
――旭。
少年の頭の中。
脳に直接届く声は、もう一つの聞き慣れた声。
咄嗟に少年が周囲を見渡そうとも、その姿は映らない。
だけど、またその声は少年の脳へ響いたのだ。
――藍を助けるんだ。
無理だよ、と少年は思う。
それが出来ていれば、すでにそうしている。
出来ないからこそ、今自分の心は砕けようとしているのだから。