渇望の鬼、欺く狐
 楓が言ってくれないのであれば。



 その思いは、私に言葉を紡がせたのだ。



『あの……、あのね? 私、楓の事好きだよ』



 優しい楓は、きっとこの想いを受け入れてくれる。

 そう信じて。



『ありがとう。私もだよ』



 出会った時から何一つ変わらない笑顔で答えてくれた楓に、自分の中で弾けた想い。



『本当に?!』


『あぁ』



 それは私から、更なる言葉を引き出してしまった。



『だったら……、お願い聞いてくれる?』


『おや、何だい?』



 きっと。

 この想いだって楓は受け止めてくれる。

 頷いてくれる。



『あのね……? あの……、私……楓のお嫁さんになりたい』



 その瞬間を、心待ちにしていた。
< 204 / 246 >

この作品をシェア

pagetop