渇望の鬼、欺く狐
 聞いた事もないような旭の泣き声は、最早叫び声となり、辺りを響かせている。

 やがて、その声が消えた時。



 許さない。



 確かな意思を持ちながら、私の中で暴発した何かと。



 許さない。

 許さない。

 許さない。



 疼く額の感触が。



『あ……ぁ、ああああぁぁああぁああああ……!』



 私に声を上げさせたのだ。

 まるで、声を発する事で、暴発した「何か」を発散させるように。

 その「何か」を、真っ直ぐ男たちへと向けるように。

「何か」は、濁りのない憎しみだったように思う。

 額を突き破る感触にも気付いていた。

 だけど、その時の私には、その感触に疑問を抱く事よりも。

 ほぼ同時に倒れた男たちよりも。

 楓と旭に駆け寄る事の方が先決だった。

 
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