渇望の鬼、欺く狐
「……本当にここで寝ていい?」


「三日に一度だよ。ここも、そんなに広いわけじゃないからね」


「……俺の事、一番可愛がってくれる?」


「それはどうだろうね」



 思わず笑ってしまったけれど。

 どうやら私の答えは、雪にとって不満な物だったらしい。

 俯いて、痛いぐらいに強く私を抱きしめて。

 見て取れる独占欲と嫉妬心に、一つ息を吐いた。



「お前は本当に困った子だね」



 声をかければ、不安気な視線がまた私を捕らえる。

 それに構う事なく頭を撫でてやれば、雪の目は僅かにだけ気持ち良さそうに細められた。



「大きくなっても、昔と何も変わらない。旭は本当の赤ん坊だけど。お前は言ってみれば、話せる赤ん坊というところだね」


「藍……」



 あまりにもわかりやすい態度を。

 無遠慮に私へと向けて。

 本当に。



「可愛いよ、お前も」 
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