渇望の鬼、欺く狐
雪を見送り、もう慣れてしまった道を歩く。
足場は悪いが、それが気にならなくなるぐらいには、私はこの地に馴染んでしまっていた。
赤子――旭は、歩きながらの揺れが心地良いのか、泣き疲れたのか。
徐々に大きな泣き声をぐずりへと変化させて。
それに気付き背中を擦ってやれば、少しずつその目を閉じていく。
だけど眠り切れないのか、何度もまたぐずって。
「……仕方無いね」
一つ息を吐いた後、自分が知っている子守唄を口ずさんだ。
……歌なんて歌ったのは、何年ぶりだろう。
よぎる思考。
それは私自身が考える事を止めた所為で、答えに辿り着く事は出来なかったけれど。
山の奥へと向け、歩かせ続けた足。
やがて目に映る社は、私が住処としている場所だった。
視線を旭へと寄せれば、旭はもう、すっかりその目を閉ざしている。
私の着物を掴む小さな手。
あどけない寝顔からは、先程のような大きな声など想像もつかないのに。
あの泣き声はもしかすると。
「お前の手は小さいね」
この小さな体が。
「生きたい」と、出せない言葉の代わりに、必死で泣き声を放っていたのだろうか。
何故だか、そんな風に思えてならなかった。
足場は悪いが、それが気にならなくなるぐらいには、私はこの地に馴染んでしまっていた。
赤子――旭は、歩きながらの揺れが心地良いのか、泣き疲れたのか。
徐々に大きな泣き声をぐずりへと変化させて。
それに気付き背中を擦ってやれば、少しずつその目を閉じていく。
だけど眠り切れないのか、何度もまたぐずって。
「……仕方無いね」
一つ息を吐いた後、自分が知っている子守唄を口ずさんだ。
……歌なんて歌ったのは、何年ぶりだろう。
よぎる思考。
それは私自身が考える事を止めた所為で、答えに辿り着く事は出来なかったけれど。
山の奥へと向け、歩かせ続けた足。
やがて目に映る社は、私が住処としている場所だった。
視線を旭へと寄せれば、旭はもう、すっかりその目を閉ざしている。
私の着物を掴む小さな手。
あどけない寝顔からは、先程のような大きな声など想像もつかないのに。
あの泣き声はもしかすると。
「お前の手は小さいね」
この小さな体が。
「生きたい」と、出せない言葉の代わりに、必死で泣き声を放っていたのだろうか。
何故だか、そんな風に思えてならなかった。