渇望の鬼、欺く狐
「あーは?」



 ふいに耳を掠めた声。

 狐が視線を向ければ、赤子が自分に向けて訊ねていたと知る。

 恐らく、赤子自身を意味するのであろう「あー」の言葉。

 つまり。



「あ……、悪い。藍に買う事ばっか考えてて、お前には土産ないわ」



 自分も土産が欲しかったと、そういう事なのだろう。

 申し訳なさそうに返したけれど、どうやら赤子は納得がいかないらしい。



「いや! あーの!」


「……悪かったって。ほら、お前には飯とか色々買ってきてるだろ?」


「いや!」



 必要だから買う物と、必要でなくとも買ってきた物。

 その区別を一丁前に付けているのか、赤子は中々納得してはくれずに。

 赤子のお気に入りの尻尾で頬や頭を撫で付けてやっても、気分を逸らす事が出来なかった。









 
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