月夜の翡翠と貴方


「………そうか」


ルトは一言そう言うと、スジュナの前まで来て、金髪を撫でた。


「…おっさん、食事は何時頃?」


不思議そうに見上げるスジュナを、彼は優しげに見つめた。


「………では、八時頃に」

「りょーかい」


ルトは立ち上がり、私に声をかける。

そして、「また後で」と言ってから、ふたりは公園から出た。






宿をとってから、私とルトは劇場へ行った。

相変わらず、こそこそと劇場から出てきたラサバとスジュナ。

スジュナは家でどうしているのかと聞くと、ラサバの私室にいるのだと言った。

扉からスジュナを出した後、ラサバは家の中へ、「行って来る」と彼にしては大きく声をかけた。

女の返事が聞こえると、ラサバは「行きましょうか」と声をひそめる。

そして、四人は劇場を後にした。






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