月夜の翡翠と貴方
「………そうか」
ルトは一言そう言うと、スジュナの前まで来て、金髪を撫でた。
「…おっさん、食事は何時頃?」
不思議そうに見上げるスジュナを、彼は優しげに見つめた。
「………では、八時頃に」
「りょーかい」
ルトは立ち上がり、私に声をかける。
そして、「また後で」と言ってから、ふたりは公園から出た。
*
宿をとってから、私とルトは劇場へ行った。
相変わらず、こそこそと劇場から出てきたラサバとスジュナ。
スジュナは家でどうしているのかと聞くと、ラサバの私室にいるのだと言った。
扉からスジュナを出した後、ラサバは家の中へ、「行って来る」と彼にしては大きく声をかけた。
女の返事が聞こえると、ラサバは「行きましょうか」と声をひそめる。
そして、四人は劇場を後にした。