月夜の翡翠と貴方
食事はラサバの言う通り、とても美味しかった。
ルトがラサバと他愛のない話しをしているなかで、私は小さな口を開け、美味しそうに食べるスジュナを見た。
その姿は、普通の子供で。
穢れを知らない、純粋な子供で。
少女を纏う雰囲気は、幸せそのものだった。
時折楽しそうに会話をするスジュナとラサバは、仲のいい親子と何の違いもない。
ただただ私は、その様子を見ていた。
そんな私に薄々気づいていただろうルトも、二人を見ていた。
橙の瞳の奥底で、あの虚ろな目が散らついていた。
*
「なーんか信じらんねーな」
宿の部屋へ入る頃には、夜空は真っ暗で、星が出ていた。