月夜の翡翠と貴方
この感覚なら、日頃から淡く感じているものだから。
奴隷になってから、最初こそ感じていた『空腹感』も、今では慣れ、胃が食べ物を過剰に求めなくなった。
おかしいことは、重々承知である。
けれど奴隷など、皆そんなものだ。
「どっか、食いにいこー」
無邪気な子供のように、ルトは私に笑いかける。
そうして私の手を引き、歩く。
これがもう自然となっていることが、どうにも私には不思議だった。
*
ざわざわと、声が飛び交う。
ガチャガチャと、食器の音があちこちから響く。