あなたの手でかかる魔法
優しく撫でて……魔法をかけて




一日が終わり
疲れた身体と心。

今日はハードだった上に
嫌なことがあった。

「あんなにひどいこと言わなくてもいいのに……」
思わず独り言を口にしてしまう。

家に帰りたくないけど
他に行くところがない。
気分転換で贅沢なところへ簡単に行けるお金もない。
友達を誘おうにも
『愚痴に付き合わせたら悪いかな』
なんて遠慮してしまう気持ち。

こんな時はいつも以上に
あなたに会いたい。

本当は……
真っ先にあなたに逢いたい。

だけど
忙しいあなたを想うと
「会いたい」と言えなくて……。


そんなこと思いながら
とぼとぼ歩いていると
携帯電話があなたのコールを響かせた。


出る前に泣かないように深呼吸。

「もしもし」




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