Seven Colors
「いくつになっても水恐怖症は治りそうにないんだな……まぁいい。それを降ろしてください」
黒王の指示より、アキラの後ろに立っていた警官は水鉄砲を降ろした。
それをどこにしまっておくか、ポケットにいれると水が漏れるのだ。悩んでいた警官に白石がすかさず「預かります」と手を出す。実は単に興味心が沸き起こりから手に取ってみたいだけなのだが。
数秒の沈黙の後、黒王は警官と白石に部屋を出てほしい、少年と二人だけにしてほしいと申し出た。一瞬ためらった白石であるが、アキラの実態を思い出すとむしろその方が有り難いと感じたのか、一礼して部屋を出た。
部屋に二人しかいないのを確認し、黒王はため息をつく。
「こ、黒王刑事」
「俺は刑事じゃない、警部だ」
「え?! この前まで……」
当然の反応か、と心中で呟きつつ黒王は女性のように艶やかな黒髪を一つに結びなおす。
その様子を凝視していたアキラに「どうした」と声をかけるとアキラは眉間にシワをよせ「別に」と目を逸らした。
「元気だったか、暁」
「えーえーおかげさまで体力だけは余るほどありますよー元刑事さん」
「なるほど、その減らず口も変わらず健在か」
「どっちが減らず口だよ」
ふん、と頬を膨らまし足を組むアキラ。一応は取り調べ対象であるはずの人間であるが、端から見ればアキラが取り調べをしているように見えるほど態度がでかい。
「善くも悪くも相変わらず、か」
また一度笑みをこぼし、黒王は手帳を取り出した。
不機嫌そうにそっぽを向いていたアキラであるが、視界の端にその小さいが存在感は大きい代物を確認し、顔を強張らせる。
「さて、本題に移るか」
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