ビター・スイート・ラヴ
 編集部の仕事は入稿も済ませていたので、真紀は久々に休みを貰うことが
できた。明日、編集プロダクションに行くことに決まった。



 谷川とは午後五時にJR市ヶ谷駅で待ち合わせをした。谷川は先に来て
待っていた。真紀を見つけるなり、やあ、と右手を上げて近づいてきた。



 色褪せたジーンズにTシャツ、その上に麻のジャケットをラフに着こなし
ていた。



 外見だけ見ると、一時期週刊誌などで流行った、チョイ悪おやじ、そのも
のだった。体型は重いカメラ機材を運んでいるせいか筋肉質で引き締まって
いる。



「すみません、お待たせしてしまって」


「僕もたった今、着いたところだよ。急な話しで悪かったね。実は撮影で
海外に行ってたんだ。数日前に戻ったばかりで君の話しを例の社長にして
みたら会ってみたいということだったので、君に連絡したんだ。仕事の方
は大丈夫なの?」


「お気遣いくださって有り難うございます。仕事は一段落したので大丈夫
です」


「そう。その事務所はここからそんなに遠くないんだ。僕もこのまえ撮影
した写真を届けに来たので丁度いい」



 編集プロダクションは瀟洒なマンションの三階にあった。
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