ビター・スイート・ラヴ
 東社長は早速、制作部のチーフを真紀に紹介した。締め切りに追われてい
るのか、そのチーフとは軽く挨拶を交わしただけだった。



 東社長と谷川が打ち合わせをしている間、真紀はこの会社が手掛けた作品
をラックから引き抜いてじっくり読んだ。



 打ち合わせも終わって、谷川はこれからちょっと飲みに行かないかと
東社長を誘ってみた。



「生憎これから外出しなくちゃならないんだ」



 東社長は済まなそうに断った。



 谷川は四ッ谷に気の利いた店があるから、この後飲みに行こうと
真紀を誘った。



 谷川は大通りに出てタクシーを拾い四ッ谷三丁目までと運転手に告げた。



 お目当ての店は仕事帰りのサラリーマンやOLで混み合っていた。
店員がテキパキと二人分のスペースを作くり、谷川と真紀はカウンターに
腰を落ち着けることが出来た。



 谷川はメニューを一通り眺め、冷酒を注文した。ここの冷酒は口あたりが
まろやかで美味いと谷川が奨めるので真紀もそれに倣った。
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