ビター・スイート・ラヴ
 その日は仕事帰りに谷川と会う約束をしていた。遊び慣れた谷川はいろん
な店を知っていた。今日は銀座にあるワインバーを予約していた。



 谷川と何度も飲んでいるけど話題が尽きない。物知りで趣味も多く真紀を
飽きさせることがなかった。



 真紀もいかに今の仕事にやりがいを感じているか、早くフリーになって
活躍することが当面の目標であることなどを、信頼している谷川に聞いて
もらいたかった。




 真紀は都内に住まいがあるという安心感から、調子づいてワイン飲み
過ぎた。



 そして、案の定、悪酔いしてしまった。



 夜中の十二時をとうに過ぎていたのでシティホテルにチェックインせずに
取り敢えず自分の事務所に真紀を連れて行くことにした。



 谷川は酔いつぶれた真紀を抱えてタクシーに乗り込み、運転手に四ッ谷ま
でと告げた。運転手はルームミラー越しに、酔いつぶれている真紀と谷川を
迷惑そうな顔でちらりと見やり、車を発進させた。
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