イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
「あの……」


あたしは考えながら切り出した。


「あんだよ?」

「……あたし、性転換した男じゃないの」


何言ってんだ、あたしは。


「……え?」


戸惑うようにこっちを見上げる整った顔。


(……まさか、信じてたんじゃないでしょうね)


それはそれで、何だか腹が立った。

このあたしのどこが元男だってのよ。

もうこうなったらやけだ。

この男を誘惑してやる。


この人が、どういうわけか、あたしに興味を持つことは知ってるんだから。

美咲姉ちゃんのような美人をさしおいて、あたしのどこがいいのか、さっぱりわからないけどね。
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