六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「こちらへ」
琴さんに背中を押され、つまずきそうになる。
何とか前へ進むと、座っていた男の人が立ち上がった。
「……ご苦労だった、琴」
男の人に言われ、琴さんは頭を下げて後退した。
その姿に、あたしの目は釘付けになった。
男の人は、瑛さんと同じ、
銀色の髪と紫色の瞳を持っていた。
しかし体は瑛さんより一回り大きく、
たくましいのが服の上からでもわかる。
彼は忍装束ではなく、仕立ての良さそうな着物を着ていた。
「そなたが、夢見姫か」
似てる……。
クセのある声。
歳はとっているけど、整った顔立ち。
「もしかして……。
あなたは、岡崎滋さんですか……?」
そう聞くと、彼は。
「いかにも」
瑛さんの叔父で、今の一族の首領――岡崎滋は、
口の片端だけを上げて笑った。