六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
その腕が降り下ろされ、体が床に叩きつけられる。
「あ、きちゃ……っ!」
衝撃で霞んだ目に、見えたのは……。
光を失った滋の手からはらりと落ちた、
一本の銀の糸だった。
「あ……」
「誰かおらぬか。
夢見姫を連れていけ」
「アキちゃん……!」
手錠をされた手で、銀の糸をつかむ。
「アキちゃぁぁぁん……!!」
あたしは突っ伏して泣いた。
元は、ただの髪の毛だったアキちゃん。
でも、一緒に戦ってきたんだ。
いつも一緒に、いたんだ。
なんで、なんで、なんで……!
「あぁぁあぁぁあ……!!」
怒りが、悲しみが、言葉にならない。
ただ、嗚咽だけが、次々に湧いて溢れた。
トン、と背中に小さな衝撃を感じて、意識がなくなる直前。
アキちゃんが、しっぽを振りながら歩く姿が見えた気がした。
現実には、滋の「うるさい」という声しか、
与えられていなかったのに。