六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
いい香りがする。
目覚めた時思ったのは、そんな事だった。
相変わらず、目の前には鉄格子、足には足枷。
「……なにこれ……」
変わっていたのは、体の重み。
ワンピースが、白い長襦袢一枚になっている。
きつく巻かれた帯のせいか、それがすごく重たく感じた。
「なんで……」
そうか。
気を失っている間に、勝手に洗われて、着替えさせられたんだ。
だから、石鹸のいい香りがするんだ……。
もう、怒りも羞恥も湧いてこなかった。
ただ、アキちゃんを失った事を思い出して、涙が出た。
あの銀髪はどこへいってしまったんだろう。
最期に、確かに、つかんだはずなのに。
「アキちゃん……」
瑛さんにもらった、ただ1つのもの。
ううん、ただ1つの命だったのに。
あんな、一瞬で……。